スタッフが辞めない医院をつくる3つの定義

人事評価
  1. スタッフの個性を見る
  2. スタッフの頑張りを成果にする
  3. スタッフの評価を報酬に繋げる

最後は、「3.スタッフの評価を報酬に繋げる」をテーマにお話しさせていただきます。

時給3,000円の衛生士、あなたの医院では採用できますか?

「時給3,000円の衛生士」

こんな応募が来た場合、あなたの医院では採用されますか?

時給3,000円というのはDrクラスの金額でもあり、「優秀なスキルがあるのだろうが、現実的に採用は難しい」と、大半の医院では躊躇されるのではないでしょうか。

一方、衛生士の歩合給や分配給を制度として取り入れている医院では、下記のような計算をします。

時給3,000円 ⇒ 月160時間 × 3,000円 = 48万円(月給)
48万円 × 12月 = 576万円(年収)
人件費率30%として 48÷0.3=160万円(月間必要売上)
160万円 × 12月=1,920万円(年間必要売上)

この計算ができる医院は、この衛生士の採用を前向きに考えることができます。

実際に、毎月の売上を計算して入社3~6カ月の売上平均から時給を確定する方法を導入した医院では、衛生士の時給が2,500円になった事例があります。

このように人事評価制度を導入している医院では、数字の単純なイメージではなく自院の売上に適した衛生士の時給、月給、年収を推測することができます。

「人事評価制度」って、難しいんじゃない?

人事評価に対しては、「必要だとは思うが導入するのは難しい」というような声をよくお聞きします。

「基準がわからない」

「他院ではどれくらい給与や賞与を支給しているのかわからない」

「せっかく基準を作っても浸透しないのではないか、スタッフの反発があるのではないか」

人事評価制度を成功させる秘訣は、自分の医院に合った制度を策定することです。構造を理解すればご自身で作ることも難しくはないでしょう。

「人事評価制度策定」までの3ステップ

人事評価制度策定に向け、まずは3つのステップを理解していただきたいです。

  • 1ステップ:職種別にランク決めをする
  • 2ステップ:評価シートを作る
  • 3ステップ:給与・賞与決定基準を決める

「人事評価」の仕組みができれば、次は運用する方法です。

運用するに当たっては、まず、「人事評価スケジュール」を作成します。人事評価スケジュールとは、いつからいつを対象期間とし、いつ人事評価を行い、いつの報酬で反映させるかを決めることです。

スケジュールが決まれば、次は人事評価を院長だけで決定するのではなく、スタッフ本人が自己評価する機会を作りましょう。自己評価について、チーフがいればチーフ評価も踏まえ、3人または2人で評価面接を行います。評価面接をすることでスタッフの認識と院長の認識のギャップを取り除き、今後の方向性を話し合う機会をつくることができます。

人事評価制度策定事例

それでは、人事評価制度導入によりどのように評価を報酬に繋げることができるのか、皆様に3つの事例を共有いたします。

事例① 評価点数を賞与に「評価計数」として掛け算する方法

こちらの方法は「評価点」に重点を置き、スタッフの能力に合わせて賞与を支給する方法です。

賞与の計算方法として、基本給×平均支給月数×評価係数を規定とします。平均支給月数は原則自由です。今回は年間の賞与支給を夏・冬2回で計3カ月分、1.5カ月分として計算します。

【基本給が20万円の場合】

20万円 × 1.5カ月分 = 30万円

上記に、評価点をプラスします。

【評価点数を賞与に反映】

評価点数が60点なら1.1、80点なら1.2の場合
20万円 × 1.5カ月分 × 1.1=33万円
20万円 × 1.5カ月分 × 1.2=36万円

事例② 「衛生士実地指導料」を給与に分配する方法

こちらの方法は衛生士実地指導料をスタッフに還元する方法です。

【1日あたり適応患者7人、1カ月の出勤日数21日の場合】

80点(歯科衛生士実地指導料1)×10円=800円 ×7人=5,600円 ×21日=117,600円

上記金額を月給にプラスします。

事例③ 月保険点数ごとのモデルから計算する方法

保険点数分配モデルを利用し、売上(保険点数)によって月給を上げるイメージです。

【保険点数の5%を加算する場合】

保険点数102,000点:102,000 ×10円 =1,020,000円 ×5% =51,000円
保険点数106,000点:106,000 ×10円 =1,060,000円 ×5% =53,000円
保険点数125,000点:125,000 ×10円 =1,250,000円 ×5% =62,500円

いずれも頑張ることで自分の給与・賞与に還元させることができるとスタッフに認識させることが重要です。そのためにはどれくらい頑張れば良いのか、目標設定はどうしたらよいか、期日はいつなのか、これらを院長とスタッフ間で明確にさせておく必要があります。


昨今の競争化した業界の環境を乗り越えるには、スタッフとの一体感ある組織運営が重要となります。スタッフのやる気をどう持続させれば良いのか、スタッフが積極的に医院運営へ携わるようになるにはどのような仕組みが必要なのか。これらの課題を解決するためには、「人事評価制度」の目的と仕組みを理解することが必要です。


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