歯科経営コンサルタントの視点で分析すると、歯科衛生士が月15万点(150万円)の売り上げを上げることは教育次第では容易であると考えます。しかし、多くの現場で実現できていない理由は単なる衛生士のスキル不足ではなく、「構造的な4つの壁」に集約されます。
これを理解することが、「月15万点衛生士」を育てる鍵となります。
1. 「売上=悪」という根深いメンタルブロック
歯科衛生士の多くは「医療人として患者に寄り添いたい」という純粋な動機で入職します。
- 現場の誤解: 「点数を追うこと」=「不要な処置を押し付けること」という恐怖心があります。
- 原因: 院長が「なぜこの点数が必要なのか(=質の高い予防を提供し続けるための原資である)」という経済と医療の正の循環を、スタッフが納得する言葉で言語化できていないためです。
2. 「時間」と「単価」の計算式の欠如(生産性の盲点)
多くの医院では、DHのスケジュールが「ただ埋まっていること」を良しとしています。
- 現場の状況: 30分枠で保険のSC(歯石除去)を回し続けるだけでは、物理的に15万点には届きません。
- 原因: 15万点を達成するには「自費クリーニングへの移行」や「物販の提案」、「効率的なTBI(歯磨き指導)」など、時間あたりの付加価値を高める戦略が必要です。しかし、多くの院長は「頑張れ」と言うだけで、具体的な「枠の使い方の再設計」を指示していません。
3. 「評価」と「報酬」の不一致(頑張り損の構造)
これが最大の理由です。現状、多くの医院では「月10万点の人」と「月15万点の人」で給与が変わらない、あるいは数千円の手当の差しかありません。
- 現場の本音: 「頑張って提案して点数を上げても、忙しくなるだけで自分の給料は変わらない。むしろ、ゆっくり保険診療をこなしている方が楽で得だ」という逆インセンティブが働いています。
- 原因: 貢献度を正当に可視化し、還元する「人事評価制度」が機能していないため、優秀な層ほど「ほどほど」に働くか、愛想を尽かして離職してしまいます。
4. 教育の「標準化」と「継続」の仕組みがない
「教育すれば容易」と言いつつ、その教育が「院長の背中を見ろ」という徒弟制度に依存しています。
- 現場の課題: カウンセリングの台本(トークスクリプト)がない、自費移行のタイミングが人によってバラバラ、といった状態です。
- 原因: 院長が忙しすぎて、教育を「仕組み(マニュアルや動画)」に落とし込めていません。その結果、スタッフは「何をどう学べば15万点に到達できるのか」という階段が見えず、踊り場で立ち止まっています。
結論:なぜ実践できていないのか?
それは、「15万点出すための武器(スキル)」を渡しても、「15万点出すための動機(評価)」と「15万点出すための環境(時間枠)」が整っていないからです。

先生、スタッフに『技術』だけを教えていませんか?
スタッフが15万点を目指したくなる『仕組み』がなければ、どんなに高額なセミナーに送り出しても、宝の持ち腐れに終わります。
院長には、売上を上げることができる勤務医を採用したり教育したりすることよりも、今いる衛生士を「月15万点衛生士」にすることの方が容易と気付いていただきたいです。
評価や報酬の決定等、仕組みづくりに悩まれる場合は遠慮なく、ご相談ください。
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