定期昇給(毎年基本給増額)とは、そもそも日本経済が右肩上がりの時に出来た制度であり、「定昇」と略され、年末年始から4月の実行までの期間によく耳に致します。しかし、昨今の経済情勢に合わせると給与改定(毎年基本給見直し)が、適切な表現ではないかと言われ始め、「給与改定」を使うケースが増えております。
ちなみに、「定昇」と似ていて間違い易い「ベア」とは、ベースアップのことであり、元々インフレ(物価上昇)の続く経済情勢に合わせて、物価の上昇部分を給与へ反映させた制度のことです。
一般的に、4月は、「給与改定」の時期であり、ほとんどの医院でも行われています。しかし、人事制度が整備されていない医院では、「全員一律で3千円アップ」「院長の基準で2〜5千円アップ」という対応をされている医院がほとんどです。この状況から、急に人事制度を導入にして、評価・給与改定額を決定することは大変難しいことです。
この場合の出来る対応は、以下の通りです。
- ・各スタッフの一年間の業務を思い出せる限り思い出すこと
- ・仮の医院基準を決めて、評価を行うこと(歯科医院経営9月号特別企画「スタッフの意欲を高め、定着率を高める人事評価・給与決定システム」[PDF: 560KB]を参考にして下さい)
- ・評価の結果を基準に改定額を決定すること(難しいようであれば次回以降行なってください)
- ・評価の結果と経緯を記録に残すこと(試行段階の結果を、本人へ通知するかどうかは自由です)
- ・次回の賞与までに、医院の評価基準を考えること(人事制度のない医療機関の医院長はぜひ参考にして頂きたいです)
医院経営を続ける上で、「給与改定」「賞与決定」を行わないわけにはいきません。院長が必要と思われたタイミングで、医院の方針を決定し、医院の人事制度を整備することで、この時期の悩みの種である「給与改定」を、医院経営においてプラス要因に変えることが出来ると思います。